モッパーです。
ロボカップジュニアサッカー新ボールのセンサについて、当ブログの
こちらや
こちらで盛んな議論がありましたので、現時点での状況をまとめておきます。この記事はコメント禁止にして情報をまとめていきますので、コメントがあれば
こちらや
こちらへどうぞ。
- 新ボールについての公式発表
こちらに 2009 年世界大会での新ボールの扱いと現時点でのターゲットとなるセンサーについて述べられています。
こちらに新ボールの仕様が記述されています。
要約すると、新ボールは 40Khz での点滅(変調)に加えて 1200Hz での光量の減衰(明るい状態から暗くなること)が組み合わされており、それら 2 つが組み合わされた状態をセンサで検知することが必要となります。
点滅していることにより、常時点灯している今までのボールよりも、電池の消費を削減出来ますし、今までより照明や外の光にだまされることが少なくなる可能性が高いです。
2 つの変調(点滅)周波数が組み合わされている理由は、多分、インバータ照明(後述)という高速に点滅を繰り返す照明やロボット内部のノイズによる誤認識を防ぐためと思われます。
- 新ボールに対応しているセンサー
現時点で、新ボールに対応していると思われるセンサーは以下の通りです。
・NXT IRSeeker V2 (NSK1042)
日本で手に入るのはこちらとかこちらです。(V2 かどうか確認して購入したほうが良いと思います)
2010.9.14 追記 : 当方のブログのこちらの記事のコメントにインプレッション書いてあります。
・MR-9152 の光センサー
どうも、単体での販売はされていないようです。(エレキットの web で問い合わせても返事なし)
トライシンクという別の会社が補修部品として取り扱っているとの情報があります。ただし、約\2600と高いので複数買うとかなりの高額になります。以下のページでの問い合わせに個別に対応してくれるそうです。
http://www.trythink.com/pc/
・赤外線リモコン受光センサ
赤外線リモコンは新ボールと同じ、40Khz 付近で点滅していますので、汎用的なセンサが流用出来る可能性があります。
公式発表もそれを示唆しています。手に入るものは 38Khz のものが多いですが、先の公式発表にはそれでも使えると書いてあります。
1個100円〜200円程度と非常に安いですが、単なるオン/オフのアウトプットではなく、「光の振幅の大きさ」や「光の強さ」を出力しているものを選択する必要があるように思います。(そんなものがあるのか未調査です) 使えるものを選択するにはかなり苦労すると思います。デジタルでのアウトプットのものが主流なので、光に対する指向性が高くて1200Hz での光量の減衰をデジタル波形のデューティー比(ON/OFF の期間の比率)で出力できるものを探索する必要があります。こちらの記事に荒削りではありますが、手に入りやすいセンサーについての最強ファイターズの調査結果があります。
・いままで使用してきた赤外線センサを使用してフィルタ回路を自作
全く未踏(誰もやっていない)の領域と思われます。どなたか成功した方は是非教えて下さい。
Team GRA・CHAN! が既存の光センサ(RCX 光センサ等)を用いてソフトウェアで対応するという挑戦を始められたようです。
- 新ボールの敵について
新ボールの敵になりそうなのは、インバータ照明という、高速で点滅を繰り返す照明や PWM モータ制御を代表とする、ロボット内部のノイズと思われます。蛍光灯や水銀灯はインバータタイプの照明があります。特に水銀灯のインバータ制御は複数の方法があり、数十ヘルツ〜数メガヘルツの幅広い帯域で点滅している可能性があるようで、影響を受ける可能性があるように思います。
PWM モータ制御もそうですが、オン/オフ を繰り返す矩形派と呼ばれる波形は膨大な高周波成分を持ちますのでそのような周波数成分のピークが新ボールの変調周波数にたまたまぶつかったり(ここは、ちょっと難しいので誰か詳しそうな人をつかまえて原理を聞いて下さい)、モーターのサージのようなランダムなノイズ源に、新ボールに対応したセンサはだまされる可能性も持っています。
モータの電源を隔離することはもちろんのこと、こちらのモーターノイズに対する対策や、こちらで Hanew さんにご指南頂いた、電磁気ノイズや磁気に対する対策も有効かもしれません。
- 光学フィルターについて
これは、旧ボールにも適用できるものですが、カメラ用の赤外線透過フィルターはセンサに被せると効果がある場合もあるようです。ボールの赤外線波長である、920nm - 960nm を透過出来るものが良いです。特定の方向からの光を通す偏向フィルターも効果がありそうです。(たとえば、水平方向の光のみを透過させる)
また、赤外線透過フィルターをデジカメや携帯カメラに被せて、フィールド内の赤外線の状況をモニタしてみるという手法も存在するとのこと。
以上、頭の中だけで考えた空論の部分も多くありますので、書かれている内容の全ては信用しないで下さい。当面、調べる/考えるだけで申し訳ありませんが、これからどんどん、実践して検証した方々の精度の高い情報が得られていくことを期待しますし、もちろん最強ファターズにも実験してもらおうと思います。
私は、色々と理屈を考えてしまうタチなので、色々な可能性を上記に提示しただけで、やってみると全然簡単だったという結論である可能性のほうが高いです。難しく考えず、上記の理屈にとらわれずに、まずは、実験しちゃいましょう !!!! うまく行かなかったら、上記の理屈を少し振り返ってもらえればと思います。
個人的には IR seeker V2 みたいな出来合いのセンサで皆やっているような状況にはなって欲しくないです(プライマリはそれでもしょうがないかな...)。セカンダリな年代の方には、原理原則を理解した上で、自作センサでトライアンドエラー繰り返して新たな道を切り開いて行って欲しいです。